そこは、白銀の世界だった。見渡すかぎりの白い世界。雪だ。
少年は、そこに立っていた。そう、ここにあるただ一つの墓標のまえに
「父さん、母さん、ユウリィ、もうここには来ません。だから今日でお別れです。さようなら」少年はそれを言うとその場から立ち去っていった。彼の名前は、クリスティン・ハワード、彼はある組織に所属していた。
ピッピッ ピッピッ
クリスのポケットから携帯の音がした。
ポケットから携帯を出したクリスは、会話ボタンを押した。
「もしもし、クリス、今どこにいるの?」電話の向こうから女の子の声がした。仕事仲間の咲からだ。「墓参りに、行っていた。何か用か?」
「ああ、うん、部長から任務の依頼だって」
クリスは、その依頼が何なのか、すぐにわかった。そう、ヤツラの絡んでくる事件だ。
「アルファだな。どんな依頼なんだ?」
アルファ・・それがヤツラの名称だ。この世界には、召喚術というのがある。そこから召喚され、使役されていない召喚獣を我々は、アルファと呼ばれている。
「今回の任務は、日本にいるレベル?のアルファの殲滅」
「レベル?のアルファか・・・それにしても日本にも、アルファがいるとはな。」クリスは、少し驚いていた。日本では、あまりアルファの目撃情報がないからだ。
「私も、驚いてるだけどね・・・じゃあそっちに任務の概要のリスト、送っておくね。じゃあ私はこれ、頑張ってね」
そう言うと咲は、電話を切った。数分後、本部からのメールが届いた。さっそくクリスは、そのメールを見た。だが、そこには、とんでもないことが記されていた。
「ッ!?そんな・・・」
メールには、一人の少女写真が写っていた