サンニン

紀夜  2008-09-08投稿
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俺は小さな嘘を考えた。誰も傷つくことのない嘘を。「それ名案。」
ゆうぱちも納得の様子だった。
 次の日俺はカオルに嘘をついた。
「そっかあ、ゆうぱちも強化部入ったからなあ。夏休み大変なんだなあ。しかたねえな、残念やけど・・」カオルはそう言った。いつもの騒がしいキャラは忘れて、物静かに言った。
(許してくれカオル。たまにはお前抜きで一服したいんだ。お前抜きで・・・)
 なんでこんな嫌ってんのかな、俺は。

 少し、胸に悲しい風がとおった。

 『もう、絶交する!!』
幼き日の日常、何度カオルにそう言われただろうか。
 『あわわ、ごめんって!ごめん!許して、ね!』

俺もカオルに何度いたずらし、何度謝ったことか。  たいしたいたずらではない。どんなのだったかは憶えてはいないが、たいしたことではなかった。けどあいつは、軽々しく、何度もその言葉を使った。
『絶交』
と。

 あいつは、俺に負けないくらいの意地っ張りだった。あいつは、何度も焼きもちをやいた。あいつは、いつもカッコつけて、いざという時、めんどくさがって逃げようとしていた。あいつの言うことは矛盾だらけだった。あいつは、あいつは・・

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