『私は…蓮華を愛してる。…でもこんな最低な気持ち…私は知りたくなかった…』
クラスでも浮いていた。
問題児、不良、素行最悪。
そう言われ続けクラスの奴らは近付きもしない。
でももう一人、クラスで浮いている奴がいた。それが鞠花だった。
人と関わろうとせず、いつも一人でいた。誰も鞠花に近寄らなかったが、鞠花の名前はクラス中、知っていた。
鞠花はとても綺麗な顔をしていたから…
「椿…私は…あなたにとても…ひどい事をしている。…でも椿しか私を分かってくれる人はいないの…椿…嫌わないで…」
椿は震える鞠花を強く抱き締め、放さなかった。
「嫌わ…ないで…椿…」
鞠花は椿にしがみつき謝り続け、嫌わないでと繰り返した。
椿は、腕に鞠花を抱き締めながら鞠花と初めて出会った時の事を思い出していた…
春の入学式。
桜が舞い散る中、一際目を奪われる少女を椿は見た…
綺麗な面持ちの鞠花と一瞬目が合い
それが始まり…
その後
鞠花を学校内で見掛けるが、いつも一人だった…
いつも一人でいる鞠花が気になりつつも時間は流れ、同じクラスになっても何の関係にもならなかった…
でも些細なきっかけで言葉を交した…
『…椿…君?』
『えっ…』
具合いが悪そうにしていた女に声を掛けたら、それは鞠花だった。
『同じ…クラスだよね?椿君…』
『ああ…それより具合い悪いのか?』
『ちょっとね…休めば平気…保健室には行きたくないの…兄が心配するから…だからさぼり…』
そう言って無理に微笑んだ。
『内緒ね?お願…Σキャ!!』
俺は何やってるんだ、と思いながら、鞠花を抱き上げ屋上に向かっていた。
『…あ…ありがとう、椿君』
屋上に着き、鞠花を下ろすと、鞠花は屋上の真ん中まで歩き、豪快に寝っ転がった。
大きく息を吸い吐くと晴天を見上げ気持ち良いと言い、顔をこっちに向けた。
『椿君ってやっぱり優しいね…』
クラスの奴らも俺を遠ざける中、同じくクラスで一人でいた鞠花は思っていた性格と違った。
おとなしく、無口で笑わない女だと思い込んでいた。
意外な性格に戸惑う中、心の中に大きな存在として入り込んだ…
言葉を交したのはこれが初めて…だった…