最低な気持ち?

龍王  2006-06-06投稿
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『…やっぱり優しいね。椿君…』




問題児扱いされている自分に〈優しい〉なんて言う奴がいるなんて思わなかった。
でも鞠花は優しいと誰も言わない言葉を言ってくれた。

『…なんで…?』
『椿君は見掛け、怖く見えるみたいだけど、私は全然怖く無いからかな?だから〈椿君〉の心がね…優しさがよく見えるの』
『…何で見えるの?』
『ん〜一人でいるから目立つよね。だから良く目が向くのね。それに派手だし…』
そう言い鞠花はクスクス笑う。
『──……一人なのはお互い様だろ』
『そうね、私達似てるわね…』
本当にそう思った鞠花は自然に口から言葉が出た。
『…そう…だな』


それから少しずつ、話をするようになり、仲が良くなった。
鞠花はよく笑い、よくしゃべった。

『椿…椿…』

名を呼ばれ、笑い掛けられるたび、冷め切っていた心は癒された。
『椿とずっと傍にいたい。…椿といると癒される…』
鞠花もずっと孤独だったのか…
そうこぼす事が多かった…
でも鞠花は恋愛感情無く、俺に友愛しかなかった。
それで良かった…
ずっと一緒にいられるから…

『……椿……私と…付き合って欲しいの』
『…なっ…お前…』
鞠花は全部話してくれた。義理の兄と一度だけ過ちを侵したと…
忘れたい…
兄と妹に戻りたい…

『助け…て…椿…』

そう
愛する女に言われた…
残酷な女…

でも
鞠花の方がより可愛そうだった…
可愛そうに…
〈愛〉に振り回される哀れな女…



椿は、鞠花を愛していながら憎んでもいた。
残酷な女…
俺の気持ちに気付きもせず、一心に信頼する。
でも俺達は似てる…

同じ孤独を…
知っている…


「……お前を分かるのは…俺だけだ」
「椿…」
「─…俺を分かってくれるのも…お前だけだ…」
「………」

〈愛〉でも無く〈好き〉でも無く
もっと深い部分で
二人は繋がっていた…

二人にしか分からない絆…



「俺はお前を…嫌いにならない…絶対…」
「……んなさい…ごめんなさい…椿。…嫌わないで…」



蓮華は鞠花を傷付ける…
あいつさえいなかったら俺達はずっと

ずっと

二人だけで
二人の世界で生きていけたのに…


あいつに鞠花は渡さない…




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