エミリアは怪訝そうな表情で首を傾げた。
「兄さん、こういう事は出来るものだろうか?」
「…いや、まず不可能だろう。第一、光と闇ではエネルギーの質が異なるから、両方をミックスするには一人ではどうにもならん。やるとしたら、一人は闇の、もう一人は光をそれぞれ放出して、闇の塊に光を被せるといった形を取るしかない」
「…物凄く面倒くさいやり方ですね。それって」
リリーはそれを聞いて、苦笑した。
「…じゃあ、あの感じはなんだったのか…」
セイルは一つ首を傾げた後、ロイ達三人を見て、
「君たちは、ロザラムという男を知っているかね?」と、尋ねた。
「!」
ロイ達三人と、ミリス、エミリア、サリアの三人はその言葉に思わず息を呑んだ。
「…そうか、知っているのか…。やはり、最初の襲撃の時に様子を見に来たのは彼だったのだな…」
セイルは一つ小さくため息をついて、頭を掻いた。
「お、お父さん、どうしてそれを…?」
ミリスは恐る恐るといった感じで、セイルに尋ねた。「助け出された後、廊下で着替えている時に彼の名前を聞いた。それで、もしかしたらと思ったんだよ」
「…」
エミリアはそれを聞いて、一瞬、唇を噛んだ。