サンニン

兄さん  2008-09-10投稿
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 なぜ、これだけの不満を持っていながら、俺は10年間、カオルとやっていけたのだろう。“やっていけた”?その言葉さえさだかではない。
 でも最近、カオルはおもしろいことを言って周りをよく笑わすようになった。 人間は日々変わっていっているんだと、その姿を見てなんだか悲しくなってしまった。
 元気のよかった俺は年を重ねるごとに内向的になり、引っ込み思案だったカオルは、たくさんの人と話すのが好きになった。
 さびしがってはいけない。成長は良いことなのだ。だがあいつのようにみんなと明るく話すことができない俺は、なんて情けなくて、寂しいやつなんだ。俺が幼き頃から描いていた理想の自分は、こんなんじゃなかった。
 あぁ、いやだいやだ。考えれば考えるほど自分がどんなに淀んでるのかがよくわかる。
 でもなんだかんだ言ったって、3人でいるときは、不思議な一体感が胸を満たして、なんとも心地よい気分だった。ようするに、楽しかったのだ。
 ゆうぱちは完璧なる俺の1番のダチだ。そこに口の悪い、だけど笑えるカオルがいて、そしてまじめな俺がいて。楽しかった。楽しかったんだ。あの思い出たちは、全部楽しかったんだ。



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