「…お父さん、どうして今、ロザラムの話を…?」
「いや…、ルイス君達を見ていたら、急に昔の事を思い出してな。彼が道場に来てお前達と遊んでいた姿が…な」
セイルはぼりぼりと頭を掻いて、一つ小さく首を振ると、
「いや、つまらん話をしてしまったね。…まあ、昔の事だから、気にしないでくれ」
と、言って、寂しそうに笑った。
「つまらん話…そんな訳無いでしょう!」
突然、エミリアは厳しい表情で、拳でテーブルを叩きながら、叫んだ。
「知らないくせに!あの人が、あの人の家族が、あの事件でどんなに苦しんだか!父さんは何にも知らないくせに!」
「姉さん!落ち着いて!」ミリスはエミリアの肩を押さえながら、取り乱す彼女をしきりに落ち着かせようとしていた。
ロイ達三人とライルはそれを見て唖然とし、サリアは顔を伏せ、セイルは苦しげな表情で唇を噛んでいた。「彼はあんな事をするような人じゃ無いって、分かってたでしょう!?何で、どうして、彼をあんなひどい目に遭わせたの!?」
「姉さん!」
「…」
ロイはゆっくりと立ち上がると、エミリアの側まで行って、そっと彼女の頭に手を置いた。
「え?」
エミリアはそれに気付いて、ロイの方を見た。