正式に交際を申し込まれた時一瞬の迷いはあった
断ればどうだろう
貴方はそれでも諦めないと追ってくれるだろうか
それとも分かったとあっさり引き下がってしまうのだろうか
追われれば逃げたくなったり逃げられれば追いたくなったり
それは何の障害もない独り身の男女がする事なのかもしれない
そう思えばこの迷いなんて無意味なのだろうか
どうせ断るつもりなんてない
どうせ嬉しいって思っているくせに
大好きなくせに
自分の本音を隠す事なんてどうせ無理
自分を苦しめるだけ
どうせ苦しむなら貴方との関係を始めてから苦しみたい
駆け引きをしてもどうせ未来は結ばれないのだから
言い訳を頭で呟きながら答えを出した
私なんかで良ければどうぞ宜しく
これから先には不安しかない
だからきっと些細な事が幸せになる
貴方が私を『彼女』と呼んだ
それだけで少しの安心が生まれた
不思議な感覚
そうやって貴方が私の不安を一つ一つ消してくれる気がしたから
貴方に私の日常を委ねてみようかと思えた