初恋-秋-

 2008-09-11投稿
閲覧数[173] 良い投票[0] 悪い投票[0]

けだるい残暑が続きながら夜風は秋を知らせた。

あれから夏の終わりは切ない気分になる。
あんなにも簡単に繋いだ手を離した私達は子どもだったね。

あれは体育祭の前。
妙な噂を私は耳にした。
彼が転校するって。
私はすぐ彼に確認した。
彼は笑って…「バレた?」
私はショックで何も言えなかった。
いつ?どこに?…しばらく固まる私に彼が話す。
「父さんの仕事の都合でアメリカにいく。出発は体育祭が終わったら。」
ついに泣いてしまう私に彼はただずっとごめんなと頭をなでてくれていた。
出発までの日にちはあっという間で、私達は別れを惜しむ間もなく離れた。
今まで通りでいようねと約束して…町は瞬く間に秋色に色づいていった。
だけど彼がいなくなった学校は色褪せて、私の心はぽっかり穴があいた。
冬には一度帰ってくるといった彼の約束が私の心の支えだった。
辛いことは続くもの。
両親が別居。母方の実家に引っ越し、学校も転校。
生まれ育った町はのどかな田園風景の町。
新しい街は、駅前で華やかだったけど…
行き交う人々はうつむき加減で疲れていて…
私の心も疲れていた。
彼に会いたくて祈る気持ちで冬を待っていた。

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 直 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]
男子が夢中になる
ウルウル唇で誘惑…♪


▲ページトップ