僕は親孝行というものをしたことがない。
『親孝行したい時には親は無し』とは良く言ったものだ。
あれは15年前になる。
僕が産まれて7ヶ月たった時の話だ。
僕には記憶は無いが母親が話してくれていた。
僕の父親は15年前に亡くなった。
母親が言うには、父親は僕に激愛だったらしく、産まれた時凄くよろこんで、喜びすぎて、階段から転げ落ちたらしい。
どうりで僕のドジなのは父親譲りらしい。
僕の父親は僕の面倒を凄く見てくれていたらしい。
ミルクを飲ましてくれたり。
オムツを代えてくれたり。
お風呂に入れてくれたり。
一緒に遊んでくれたり。
一杯一杯愛情を注いでくれていたらしい。
そう母親に言われてもぼくの記憶の片隅にも父親の存在がない。