「シーラ。前に浄化能力のこと言ってたけどあれって具体的にはどうやって使うんだ?」
『聖域』の中に手を伸ばしていたランスォールが聞いた。
「別に使い方なんてないよ。手を伸ばせば勝手に発動するもの。」
なんといい加減な。
「あっそう…」
呆れた様子のランスォールは光の中に手を伸ばした。何も感じない。
盾に触れてみた。
何も変わらない。
「なんだ。何も起こんないか。」
つまらなそうに言って『聖域』から盾を引っ張り出した。
「これ…本物か?」
ランスォールの手元で光る真ん中に何かを入れるような窪みのついた銀色の盾を眺めた。
「見せて下さい。」
なんの躊躇いもなくイツキに渡してしまった。
するとイツキはそのまま元来た道を全速力で駆け抜けたのだ。
盾を奪われた、とその場に取り残された四人が気付くのはそれよりもう少しあとのことだった。
「あー!!」
大声をだしたのはランスォールだった。
どうやらようやく気付いたらしい。
仕方がない。
また盾探しの旅が始まった時だった。