逃走したイツキを追って洞窟を出たがそこで待っていたのは分家の頭、雪の叔父を始めとしたこの町にいる御神の者たちが手に武器を持ちこちらに刃を向ける姿だった。
「叔父様!これは一体…」
雪が叫んだがすぐにその横からシーラが落ち着いた様子で言った。
「盾を奪い、彼はどこに行ったのですか?彼では盾を使うことは出来ません。もっと言えば特別な人以外、何人たりともあの盾を装備することは出来ないのに。」くつくつと笑いだした。
「分かっている。我々は、カロウド様の求めるモノを差し出すまで。
御神家元頭領。いいか、よく聞け。これからの御神はカロウド様と共に歩んでいく。お前たちの時代は終わったのだ。」
「カロウドですって!?」
カロウドという名はシーラには心当たりがあるようだ。
「あんな人の理想を信じるなんて…」
そう言うシーラはなんだか泣きそうな気がした。
泣きそうな気がしてランスォールはシーラの手を取ると人の中を進もうとした。「ここは通さん。」
「…黙れ」
通すまいと立ちはだかった男をその冷たい言葉で一蹴するとランスォールはシーラの手を引いて人混みの中を真っ直ぐ進んでいった。ラウフと雪もあとに続き姿が見えなくなるとそこにはどうしていいかわからず立ち尽くす御神家の人々だけが残された。