「敵影あり、北西、距離・・・・・・ガッ!!」
先ほど探知を命じられた魔導兵が叫んだかと思うと、悲鳴を上げる間もなくその場に崩れ落ちた。
「気付くのが遅かったな。」先ほどまで魔導兵が立っていた場所には、エイジが月を背負って立っている、エイジの得物である三尺近い刀は鞘に納まったままである、どうやら当て身を決められたらしい。
「その言葉そのままお返しするわ。」
ユキが片手を上げると、控えていた魔導兵達が一斉ににエイジを取り囲むと、間髪入れずに魔弾が四方から放たれた、だがエイジはそれよりも速く動作を起こしていた。魔導兵の中で一番近かった者との間合いを詰めにかかったのだ。発射された魔弾は頬をかすめて後方で炸裂した、爆風を背に受けてエイジはさらに加速し魔導兵の1人を完全に間合いに捉えた。
「バカが!」
エイジの接近に気付いた魔導兵が罵りながら魔力を練り上げ、魔力回路を作り上げた、が。
「あれ?回路が壊れた・・・」ヒュ―――ン\r
一閃、エイジが抜き打ちで素早く切り着ける。
「なっ!」
周りで見ていた他の兵達は驚きを隠せなかった、そんな彼らをよそに、エイジは刀を寝かせ半身を引き軽腰を落とし古流剣術で言うところの三角矩の構えを取った。