『協力してね♪鞠花ちゃん』
そう言ったあの人の目が一瞬、憎悪で満ちていた。
嫉妬されているように思えた…
でも何故初対面で嫉妬されるのか分からなかった…
「Σす…菫?何で…」
外出から戻った蓮華が帰宅。彼女である菫がいるのにびっくりしている。
「蓮華♪ごめんなさい、急に会いたくなって…それに可愛い妹さんにも会いたかったし…」
「えっι鞠花に?何で…」
「だって蓮華ったら鞠花ちゃんの話全然しないんだもん。…まるで宝物を誰にも知られたく無いみたいだったから…」
菫の言葉に、蓮華が動揺する。
「そ…そんなこと…あるわけ…」
「ならいいでしょ?今度は三人で…あっ鞠花ちゃん彼氏いるなら四人で遊びましょ?ねっ?」
「……そうですね」
「約束♪」
菫が鞠花に優しく微笑むと、蓮華の傍に近付く。
「今日は帰るわ♪送って…」
「ああ…」
「楽しかった♪またね、鞠花ちゃん」
鞠花に手を振ると、蓮華の腕に手を組み、仲良く家から出て行った。
蓮華は鞠花を気にしつつ、何も言葉を掛けなかった。
帰路。
「…何で…いきなり来たんだ?それも…嘘までついて…お前今日具合いが悪いって言ってたじゃないか…」
「鞠花ちゃんに…会いたかったの。…綺麗な子ね…」
「…」
「…あの子が…好きなのね…」
「Σ!」
菫の発言に蓮華が驚き、顔が強張る。
「──…嘘のつけない人。…前…公園で二人を見た時…おかしいなって…思った。でも…妹だしちょっと過保護なだけかなって思ってたんだけど……何だ…本当に好きなんだ…」
「………好きじゃない」
「──……嘘…吐き…嘘吐き!!何で…どうして妹なんか好きになるの!!何で私と付き合ってるの!!」
菫が涙を溢し、蓮華を責める。
「ひどい…ひどい!私を鞠花ちゃんの身代わりにするなんて…」
「ちが…」
「許さないから…」
菫が、涙を流しながら蓮華の首を掴み、グッと力をいれた。
「ッ」
「私を…裏切ったら殺すわ。私の愛を裏切ったらあなたを殺す!」
「ッ……すみ…」
「愛してる…愛してるの…蓮華」
菫は泣き続け、蓮華は抱き締める事も涙をぬぐってあげる事もしなかった…
ただ…菫の愛を…重く感じていた…