「ふむ…」
この姉妹はロザラムに助けられた可能性が高い…か。城に置いておけば、相手側の切り崩しにも優位に働くやもしれん…―\r
リグラはそのような考えを瞬時に頭の中に描くと、
「…いいでしょう。ただし、彼女達の衣類その他はそちらで用意して下さい。また、食費に関してこの事件が終了した後、別途徴収させて頂きますが、宜しいですかな?」
「食費…ですか。だいたいどの位かかるのでしょうか?」
「そうですね…兵士達の一日の食費は六十ガリオスですから…まあ、四十ガリオスとしておきましょう」
「そうですか…それなら、結構です」
サリアとセイルはほっとしたような表情を浮かべて、小さく頷いた。
四十ガリオスは、庶民の一日の食費より少し安い金額だったからである。
「貴方達も町があんな事になってしまい、大変でしょうからね。…ただ、これはあくまで特例です。この事はあまり他人に言いふらさないよう、お願いします」リグラはそう言うと、書類入れから一枚の紙を取り出して何事かを書き込むと、セイル達に渡した。
「これは…?」
「契約書です。私がもしも先ほど言った金額以上の要求をしたら、これを司法省へ持っていって下さい」