ココは葡萄パンとパックのジュースをマーチにあげた。リリィの為のものであった。
リリィはがらくた漁りをやめて車内に戻っていた。少し埃っぽくなっていた。リリィは少しうとうとしていたが、マーチが窓を叩くのに気付くと、はっと目を覚まして窓を開けた。マーチが差し出したパンを嬉しそうにがつがつ食べた。
マーチはお嬢様の威勢のいい食べっぷりに見とれた。あっという間に全部食べ切ってしまった。
「色々ありがとう」
お嬢様に戻った。不思議なものだ、とマーチは思っていると、リリィは眉間に皺を寄せた。
「お酒臭い」
マーチはきょとんとした。酒場で少し飲んだことを思い出した。
「貴方未成年でしょ?」
「んん、まぁ…」
リリィは呆れた顔をした。「良くないわ。未成年なら尚更よ」
歳上のココならまだしも、歳の変わらない会ったばかりの少女に叱られてマーチはちょっとへこんだ。
「…はい」
リリィはへこんだマーチの頬を指でつんと突いた。リリィの表情は笑顔に戻っていた。マーチもリリィの頬を指で突き返した。