最低な気持ち?

龍王  2006-06-07投稿
閲覧数[710] 良い投票[0] 悪い投票[0]


豪華な豪邸。

一般住宅で一際目立つ豪邸に鞠花が入って行く。

「──……椿…椿いるの?」

広い玄関から椿を呼ぶと、二階から物音が聞え、音が聞こえた二階に上がる。

「椿…」

開いていたドアから中を見ると、椿がバルコニーに座り込んでいた。カーテンが風に揺られている。

「…椿……連絡とれなくなったから来たの…どうかしたの?」
「……」

無言で顔をあげない椿に、何かあったのかと鞠花があんじる。

「…つば…」
「……鞠…俺…もう…」

椿は震えている。
鞠花は目に見える程、不安定な様子の、椿をソッと抱き締め頭をなでた。

人の暖かさにホッと安堵した椿は冷静さを少し取り戻す。

「椿…」
「鞠花…俺……俺もうすぐ…」

椿はガタガタ震え、鞠花にしがみ付く。
身を震わせ、涙を流す椿に鞠花は戸惑う。

「私はここにいるわ。傍にいる…椿」

椿の涙をぬぐいながら鞠花は優しく微笑する。
椿は目の前で涙をぬぐう鞠花の腕を掴むと、グイッと引き寄せた。

「ンッ///」

椿は無理矢理鞠花に口付けを交すと、鞠花をギュと強く抱き締めた。

「椿…///」
「俺…もうすぐ死ぬらしい…」
「えっ…」

椿の言葉に鞠花が身を凍らせる。

椿は止める事の出来ない涙を流し続け、死の恐怖に囚われながら鞠花を抱き締める。

「嘘…でしょ…?」
「ッ…」
「嘘だって言って!!椿!!ねぇ!椿…」

椿は鞠花を放すと、真っ直ぐ鞠花を見つめた。

真っ直ぐ…

椿の瞳を見た鞠花は全てを理解した。

「……い…や……嫌!!椿!私を一人にしないで…嫌…嫌ァァァ──────!!!」



〈私〉を分かるのは椿だけ…
〈椿〉を分かるのは私だけ…

私達は心の双子
私達は似ている…

私と椿は永遠にずっと傍に…

そう
願っていたのに…





「…えっ…」
「蓮華……私妊娠してるの。…だから…あなたとヨリを戻したの。…私を裏切ったら…許さないから!この子と私を裏切ったら殺すわ!!」





蓮華と鞠花は
結ばれる運は無かった…

でも
お互い愛し合っているのに…
結ばれないなんて…

皮肉…



蓮華と菫
鞠花と椿

四人はより
暗い深みにハマって

二度と
光を見れない

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 龍王 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ