第六話、背後霊と出逢った日を語る
「そう言えばあんた、どうやって霊体から実体になったのよ?」
光江は影香に一番気になっていた事を尋ねた。
当初、京助が魔法で実体化させたと思ったが、よく考えれば京助にそんな力はない。
「では語ろかしら、私が実体化した時の事を」
「おい、語るんかい!」京助の突っ込みを影香は無視し、光江に語り始めた。
一ヶ月前、後に荒鱗乃乱と呼ばれる戦いが勃発した日、京助は猫空宇宙ステーションに来ていた。外が見られる展望室に京助が入った時、誰かが外を見て叫んだ。
「何だあれ?」
外を見ると、宇宙用のバトルスーツを纏った数人が宇宙ステーションに近付いてきた。
最初は宇宙ステーションの外側を整備していると思ったが、この宇宙ステーションの整備に使うのは、作業用のワークスーツ。戦闘用のバトルスーツは使わない。
「おい、て、テロか!」京助は、身の危険を感じ展望室から逃げようとするが、既にバトルスーツを纏った者の一人はバズーカを構えていた。
間に合わない、もう終わりかと覚悟した。
しかし、終わりの時は来なかった。
「あれ?」
京助は気になって外を見ると、バズーカを構えていた者の姿は無かった。それどころか、他の者の姿も無い。
「あれ?何で!」
京助の疑問の解答は、すぐにかえってきた。
目の前を白い閃光が走った。
白い閃光が走る度に、バトルスーツを纏った者の姿が消えていった。
見ると、白いバトルスーツを纏った戦士が一人で複数の敵を圧倒していたのだ。
白い閃光の正体は、第參最高女神白(だいさんさいこうにょしんホワイト)こと吉元志乃。
通り名が『白以閃光』
まさに通り名に恥じぬ戦い振りだった。
京助が志乃の事を知るのはもう少し後になる。
志乃は、残りの敵を纏めて倒す為に必殺技を放つ。
「喰らえ、一撃必殺、白粉砕破!」
放たれた光は残りの敵を一撃で消滅させ、戦いは終わった。
安堵した京助だったが、急に気分が悪くなった。この時、霊体の影香も気分が悪くなっていた。