「巫山戯んな!!!」
スキンヘッドにタトゥーを入れた不良なような学生が、怒鳴り散らす。
「テメェら政治家か知らねぇが、イカれた奴が俺の仲間を殺したんだぞ!?」
「仕方ありません。貴方達は屑同然なのですから。」
「テメェ!!!」
男の身体が怒りに震えている。
今にもスクリーンに飛び掛からんとする勢いだ。
「生き延びるにはこの街から早く脱出することですね…」
さらにスクリーンに映る仮面の男が挑発する。
「巫山戯んな!!テメェ、今すぐぶっ殺すからな!!」
途端に走り出す、学生。
「駄目だ…!!!」
拓也が呟く。
「うぉおぉおぉ!!!!」
もの凄い勢いで走り出す。
だが、第一エリア入口、と書かれたゲートを通った瞬間、様子がおかしくなった。
いきなり立ち止まる。
落ちた。
腕が、クチャリ、音をたてて。
しかし男は苦痛に叫んだり、自分の身体を見ることはない。
ゆっくり、2、3歩、歩んだ。その次に、こけた。
いや…こけたのではなかった。
足が無くて、立てないのだ。
足が、ちぎれていた。
最後に頭がころころ…と、まるで、サッカーボールのように、地面を転がる。
よく見れば、ゲートから無数の鋭利な刃物が剥き出しになっていた。
そして瞬く間にバラバラになった男の周りは、真っ赤に染まりだした。