「こんなところにイツキは来ているのでしょうか…?」豊かな農村にあるのは青々とした森、さらさらとせせらぐ小川、そして畑。
「う〜ん…確かにこうやってみるといない気もするよなァランス?」
ラウフがランスォールに無茶振りしたがランスォールは上の空といった感じでラウフの言葉は届いていないようだ。
「…ランス?どこか具合でも悪いの?」
「え?あぁ、いや、なんでもないよ。」
ようやく我に返ったらしいランスォールは気の抜けた返事を返した。
そしてまた上の空で周りの景色を意味深に眺める。
「変な奴。」
「……っ!」
何かに気付いたランスォールは三人を置いて突然走り出した。
「ちょっランス!?」
背後でシーラが叫んだがランスォールは構わず走った。
…知ってる。
俺はこの場所を確かに知ってる。
でも…………何故?
ランスォールがたどり着いたのは小さな家だった。
今は誰も住んでいない古い家。
先程の謎は解けた。
遅れて三人が追いついた。「ここは…?」
古い小屋を見上げながらシーラが聞いた。
「俺の家だ。」