コンコンッ
「むぁい…」
ノックの音に真は寝ぼけ眼で返事をする。
「おう。俺だ。」
「…………おおかみさん?」
「…大神だ。ちと出てこい。」
「むぁ…っ。なんですか?」
真は欠伸を噛み殺しながら自室の扉を開けるとドアの前にいた大神はおもむろに一着の服を放りなげてくる。
「なんですか?これ…」
「知らねぇのか?ウェットスーツだよ」
「いや…それはわかります。今からスキューバでもするんですか?」
「そんな楽しい事にはならなねぇよ。今から訓練だ。」
「…訓練ですか?」
「そうだ。お前も自分の能力の欠点くらいわかってるだろ?さっさと着替えたら修練場まで降りてこいよ。」
そういって話を途中で打ち切り大神は先に修練場へ向かって行った。
…………………
真が修練場につくと床一面が水浸しになっていた。
「遅いぞ。」
大神はスウェットの下を着用し、上半身裸のまま修練場で待ち構えていた。
「うわっ?床水浸しじゃないですか…」
「いいんだよ。さっさと始めるぞ」
そういいながら大神は狼の姿へと変身していく。
その姿はまさに銀狼といった風貌だった。
「とりあえずお前は雷を放出出来るって事だがどれだけ放出出来る?」
「そうですね。とりあえず手から雷球を打ち出すのくらいです。一応雷球にはいろいろと変化は付けれます。」
「変化?」
「はい。飛ばすだけじゃなくて雷付けたまま殴るとか。金属に当てて溶かしたり磁石にしたりとか…」
「ふむ…。とりあえずその雷球ってのを撃ってみろ」
「はいはい…」
そういうと真は手をかざし壁に向かって雷球を撃つ。
パシュ……バシッ…ジジジ…
「違う。壁にじゃなくて俺にだ。全力でな。」
「えっ?そんなことしたら…」
「いいから!さっさと撃て!訓練にならんだろうが!」
「でも…」
その瞬間大神の姿が視界から消える…
ザシュッ!
大神の鋭い爪を真は右腕に受ける。
「くっ…」
「そんなあまっちょろい気持ちならこの先が見えてるぜ…?」
大神の表情から不敵な笑みがこぼれる。
「く…どうなっても知りませんよ!?」
その叫びと同時に真は手の平に雷を集める。
そして人の頭2つ分程に集まった雷を大神に向けて発射した。