美幸は口の中がジャリジャリして血の味がするので目が覚めた。
ゆっくりと目を開ける。目尻に涙の乾いた後があるのかパリッとする。
「いたっ…」
いろんなとこが痛い。体中が痛いし違和感がある。耳の中が水っぽい。横になっているから、涙が耳まで届いていたみたいだ。
ぼやけた月が木々の隙間から真上に見える。
美幸ははっとしてまた目を閉じた。乾いた涙の跡をなぞるように新しい涙が流れていく。
「ああ…」
美幸は自分の腕を見た。色が白いので血がにじんでいるのがよく目立つ。
「どうしよう…」
美幸はゆっくりと上半身だけ起こした。制服のスカートがまくれて白い太ももまで見えている。そして足首に自分の…下着。
美幸はケータイを取り出して壊れていないか確かめた。