お前がいたから <序章>

デルDASH  2008-09-16投稿
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はっきり言おう。
俺は尋常じゃないほど普通の人間だ。
顔も並みだしファッションセンスも並み。
運動神経は並み以下だが、そんな俺の頭脳レベルは更に並み以下。
中の下か、下の上かを毎回毎回後ろから撃ち落とされてもおかしくないくらい超がつくほどのスピードでのろのろと赤点ラインギリギリを飛び回っている。
特に趣味があるわけじゃないし、これといった特技もない。
唯一のトレードマークといえば、この眼鏡くらいだろう。
人は俺を「眠れるメガネマン」や「世界一凡庸にして中庸が似合う男」(まぁこれは認めよう)と呼ぶ。
要するに俺はごく一般的すぎてむしろ重要文化財に指定されてもおかしくない存在だ。
こんな俺でも、ちゃんと友達と呼べる奴はいる。
ここ重要なとこだからな、メモしとくように。
近頃の悩みは、「平成ののび太Ver.ハイスクールスチューデント」と、なぜか俺を崇め奉るわけのわからん女子グループが徐々に勢力範囲を広げ、一大組織へと変貌を遂げようとしていることだ。
なんで俺が崇め奉られてるんだろうか。
つか平成ののび太って言うな。
のび太君に失礼だろうが。
……なんか違う気がするがまぁそれはいい。
特に友人関係に困ることもなく、平和な毎日を楽しんでいたんだが、問題はその俺の中の友人という枠組みに、ある男がズカズカとインターホンもなしに土足で入ってきたことだ。
いや、別に許可がいるわけじゃないけどさ。
とはいえ、この問題は非常に芳しくない。
今度行われる定期テストのことで頭を悩ませ続けている俺の脳に、今あいつの情報を1ミクロン入れることすら非常に好ましくない。
が、今こうしてあいつのことを思い出してしまった以上もう遅い。
そいつの名前は神谷龍一という。
なんとも尊大にして大仰な名前だ。
そして、あれほどまで衝撃的な出会いをしたのは、この神谷を除いて他にいないだろう。
神谷が転校してきた初日のことを、俺は決して忘れない。
俺を含め、一体誰が予想できただろうか。
今振り返えってみれば、俺個人がお前と出会ったあの瞬間からお前の変態性は片鱗を見せていたんだろう。
もう一度、いや何度だって思う。
なぜお前は転校初日にキックボードで登校したのかね

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