ロストクロニクル1―6

五十嵐時  2008-09-16投稿
閲覧数[564] 良い投票[0] 悪い投票[0]

タクトとパールが急いで広場へ向かっていると何人もの人々が何かに怯えて逃げて来る。広場へ進むのも難しい。
「おいっ!あんたたち早く逃げなさい」
「何かあったんですか」
と聞いたが既に逃げてしまっていた。
「進みにくいわね・・・すいません、通してください!」
パールが叫ぶがそんな声も掻き消してしまうほどの混乱が起こっている。
「なんだ、あれ?」
「何か見えた?」
タクトの目に飛び込んできたのは、鋏の先から尻尾まで5メートルはあろう黒光りする大きなサソリの姿だった。
「なに、あれ?」
タクトは悟った。
「ムシ討伐隊を全滅させた、犯人さ」
もう、辺りを逃げ惑っていた人々は居なくなっていた。
「わたしたちも早く逃げましょう」
「いや・・・もう遅い」
サソリがゆっくりとこちらに体を向ける。
「どうするの?」
「逃げ切れるかい?」
タクトは既に柄を握っていた。
「今度は無理かも」
パールも短剣を逆手で持ち構える。
「だったら残された道はひとつ」
次の瞬間、サソリが凄い勢いでこちらに向かってきた。
「パール、来たぞ!」
タクトは右へ、パールは左へかわした。サソリはその勢いのまま、地面に鋏を突き刺す。
「タクト!危ない」
間一髪のところで右の鋏の攻撃をかわした。そのすきにパールが尻尾を短剣で切った。だが
「弾かれた!」
サソリが怒ってパールの方に振り向いた。タクトが尻尾の方から急いでパールを助けに向かう。
「これならどうだ!」
タクトはサソリを横に切りながら、パールを助けに向かう。サソリは苦しそうに横に倒れた。
タクトは早口でパールに伝えた。 「いいかい、あそこに『火薬』と書かれた店がある。きっと爆弾屋か何かだ。あそこにぼくがサソリを誘き寄せるからパールはぼくが合図したら弓で射てくれないか?」
「わかったわ」
タクトは走っていった。サソリは今にもタクトに追い着きそうな速さでタクトに向かって行く。
『早く、合図を』
パールは既に弓を引き絞っていた。
タクトのすぐ後ろにはサソリの鋏がある。
あと少し、あと少し・・・今だ!
「射てー!」
タクトはさっと横に避けた。サソリは勢いあまって店に飛び込み、火薬が飛び散る。パールはわざとサソリの体に矢を当て火花を散らした。
激しい爆発が起こった。

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 五十嵐時 」さんの小説

もっと見る

ファンタジーの新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ