『ミズホさん。サトル君とH校受けるんですよね?!頑張ってください。』
『あはっ。奈央ちゃんありがと。』
あたしは、ミズホさんの、そのキュートな笑顔が大好きだ。
『奈央ちゃん。あたしとサトルが卒業しても、たまには、また4人で遊ぼうよね!!』
ミズホさんの口元から八重歯が覗く。
やっぱ、ミズホさんは可愛い。
『はい。でも‥‥ミズホさんとサトル君が卒業しちゃったら、寂しいな‥‥。』
あたしがポツリと呟くと、
『大丈夫!!奈央ちゃんには聖人がいるじゃん!!アイツ、凄くイイヤツだから。
いつでも奈央ちゃんのコト、思ってるし。
だから寂しくなんかないわよ!!』
―とミズホさん。
違うもん。
そうじゃないのに。
ミズホさんとサトル君に、会えなくなったら寂しいなって意味なのに。
『あたし‥‥ミズホさんがサトル君のコト好きだったなんて知りませんでした。』
『あはは。そうよね。だってあたし、今まで自分のキモチ、誰にも話したコト無かったもの。』
ミズホさんのふわふわの茶色の巻き髪は、今日はトップでおだんごにされている。
『ところで奈央ちゃんさぁ――』
『はい?!』
『まだ‥‥してないの?!』
そう言って、悪戯っぽく、あたしの顔を覗き込むミズホさん。
『してないのって?!何をですか?!』
そう答えたあたしに、ミズホさんは更にあたしの顔をじ〜っと覗き込んだ。
『エッチに決まってるでしょ!!』
至近距離で顔を覗き込まれた状態で、
そう質問されたから――
あたしは、目を逸らすコトさえ出来なかった。
『まだ‥‥してないです。』
カァァァ―ー‐‥‥
真っ赤になっていく顔の火照りで、
チョコが溶けてしまうんじゃないかとさえ思った。
『あはは。可愛い。赤くなってるぅ。
あたしも‥‥サトルと、まだキスもしてないんだ。』
ほんとに?!
ミズホさんが?!
信じらんないっっ――