ピンポーン、ピンポーン
ベルを鳴らすと家の中から四十歳ぐらいのオバサンが出てきた。
「あら、浦田君。いつも悪いわねぇ…。」
「いえ、いいんです。これくらいの事。それより吉本は……?」
俺は吉本が学校を休みだした日から、ほぼ毎日授業のノートを渡しに行っている。
学級委員としてではなく、俺自身として。
「あの子は相変わらず、部屋に閉じこもったままなのよ。」
「あの…すみません。ちょっと吉本と話をさせてもらってもいいですか?」
オバサンは少し驚いたようだったが、すぐに
「いいわよ。是非お願い。………さぁ、あがって。」
そう言うとすぐに俺を家に招き入れ、吉本の部屋の前まで案内した。
「お願いね。」とだけ言ってどこかに行ってしまった。
俺はゴクリと唾を飲み、ドアをノックした。
「吉本。俺…浦田だけど。話がしたいんだ。」
一時たってドアが開いた。
「浦田君…。何で………?」
そこには驚く吉本の顔があった。