タイムテレフォン3ー現在ー

hiro  2008-09-17投稿
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最初、何が起きたか分からなかったが、無理矢理納得した。
それにしても信じられなかった。だからそのまま、
「それにしても信じられない。」
と言った。また、未来の自分が笑った。
「それより、何か訊きたいことないか?」
と、未来の自分が言ってきた。一応先輩だから、敬語を使うことにする。
「え、何をですか?」
と、間の抜けた声を出してしまった。頭が真っ白だ。
「例えば、未来の自分はどんな人になってる、だとか。未来はどんな世界ですか、だとか。」
「え、じゃあ、地球温暖化はどうなったんですか?」
何でこんな質問をしたんだ、とすぐに思ったが、気になってもいた。
「ああ、そう言えばあの頃うるさかったねえ、温暖化。でも、緑豊かな地球になってるよ。空もきれいだ。夕陽も最高だし。」
しみじみと言ってきた。なんだ、そうなんだ。
「他には?もっと訊きたいことを訊けよ。」
どうしても、と未来の自分が言うから、
「自分がどうとかよりも、親父はどうなってるんですか?もう80歳ぐらいですよね?」
と訊いた。これはいい質問だ、と我ながら思った。
「ああ、そのことなんだが。」
急に相手の声のトーンが下がった。死んだのだ、と予想はついたが、次の言葉に驚いた。
「親父は明日死ぬよ。車にひかれて死んでしまう運命なんだ。」
「え、明日?」
次の声が出せない。言葉が喉で引っかかってしまう。
「そうだよ、交通事故で。だから、こうして親父が死ぬ前日、つまりお前に電話したんだ。」
「オレに伝えるために?」
「そう、だから、最期に何かしてやれよ。」
「運命は変えられないんですか?どうすればいいんですか?」
自分の声がかれているのが分かる。
「肩でも揉んでやれよ。決して、親父に事故のことをは言うなよ。どうせ言っても無駄だ。信じないだろうし、運命は変わらない。親父は死ぬんだ。」
未来の自分は、声を震わしてこう言った。
「もう切るぞ。オレの役目は終わった。」
「待ってください。最後に、あなたに、いや、未来の自分に伝えておきたいことがあります。」
涙が頬をつたう。

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