「タクト、タクト」
パールは爆発に巻き込まれたタクトの体を揺すって起こそうとしていた。
「タクト、タクト」
「うぅぅ・・・パ、パールじゃないか」
「良かった。無事で」
安堵の笑みを浮かべる。
「こ、これを」
「何?」
タクトの手には、木彫りの鳥の頭のようなものがある。
「やっとひとつ見つけた。『木彫りの不死鳥』のパーツさ」
そこまで言うとタクトは激しく咳き込み初めた。
「大丈夫?肩に掴まって、ネートーの家で休みましょう」
ルパス城
「あのよ、聞きてぇことがあるんだけどよ。いいか?」
大男の声だ。
「いいわよ。なに?」
今度は少女の声だ。
「そもそもよ、なんでR11なんかを使ってまで不死鳥をバラバラにしたんだ?」
「バラバラにしたのは『木彫りの不死鳥』よ」
「きぼりのなんて?」
「まぁ、簡単に言うと不死鳥を呼び覚ます為の鍵よ。でも『木彫りの不死鳥』のことを知ってるなんて、わたしとパラスの王族ぐらいよ」
「なんでそんなこと知ってんだ?」
「そっか、貴方はよその国から来たからなんにも知らないのね。『科学』のお陰よ」
「はぁ?」
「はいはい、わかったわかった」
面倒臭そうな言い方だ。
「それじゃあ昔話からね。簡単に説明するね。
昔、ルパス・パラスという国があって、女神がルパスとパラスという国に分けてルパスに『科学』、パラスには『不死鳥』をあげたの」
ここまで話すと一息ついた。
「なんでそんなのくれたんだ?」
「えっ?面倒臭いなー」「国を守るため、パラスがルパスに攻められる時は『不死鳥』で守り、逆にルパスがパラスに攻められる時は『科学』で守る。女神は各々に神の力を与え、各々を守るための力としたの」
「なるほど。だから『不死鳥』をバラバラにしたのか、何でも知ってるな」
少女は「だから『木彫りの不死鳥』だってば」と呟いた。
「あのね、これは常識。それより、そろそろ兵を出さないのかなーって、思ってるの」
「出さなくてもお前の造るメカで十分だろ。サソリ一匹であの有り様だ、今にも降参してくるぞ」
「サソリは壊された」
「なんだと!お前の発明品が?」
「討伐隊は全滅させた。でも、何者かによって壊された」
大男は残忍そうな顔を浮かべた。 「へぇ〜これは面白くなってきた」