「ええ。早くこの問題を解決しないと、奴らは次の手を打ってくるでしょうからね…」
リグラはそう言って、厳しい表情になると、ロザラムやグラムなどの今まで起こった出来事を詳しく二人に話した。
「ロザラムが…あの事件を…」
セイルは唇を噛み絞めながら、拳を震わせた。
「直接手を下したかはわかりませんが、関わっている事は間違いないでしょう」「…何て事だ…」
ライルは怒りの表情を露にして、一つ小さくテーブルを叩いた。
「セイルさん。貴方は何か心当たりがあるのではないですかな?」
「…何がですか?」
「彼があのような行動を起こした原因です。彼が幼い頃にあの町を離れている事が、経歴表に書かれていましてね」
「…」
「言いたくないのでしたら、私から言いましょうか?彼が丁度九歳の頃に起こった、あの事件を…」
それを聞いた瞬間、セイルは大きく肩を震わせて、苦しそうな表情でリグラを見た。
リグラは真剣な表情で、じっとセイルを見つめていた。
「…いえ、私から話します…」
セイルはそう言って、大きく息を吐くと、姿勢を正した。
「実は私の家族には、もう一人男の子がいたのです」「ああ…アゼル君の事か…でも、あの子は病気で…」