「とにかく、脱出ルートを探そう。」
そう、今はペナルティーが回収される時間帯。何不自由ないこの時間帯がチャンスなのだ。
「とりあえず、こっちだ!」
拓也が走り出す。
「やっぱ不気味だなぁ…」
と、拓也に走りながら問う。
「このゲームには乗り物を使ったら駄目なんだ。だから使えないように全部ストップされているんだ。」
広大な道路を走る。
今ならどれだけ騒ごうが、暴れようが、ペナルティーに見付かる心配はない。
ネオンが輝く深夜街を走り続けた。
少しして、拓也が立ち止まる。
「駄目だ。ビルばかりで行き止まりだ…。」
腕時計をちらっと見る。
時計の針が12時を指している。
「もうこんな時間か…仕方ない、何処かで今日は休もう。」
流石に、長く走りすぎたせいか足が悲鳴をあげている。今日はもうこれ以上走れそうにない。
仕方なく公園で休む事にした。
二人共、別々のベンチに横たわる。
夜空が綺麗だった。
こんな状況じゃなければ、もっと綺麗に思えるのに、と勇は少し残念に思った。
「なあ、勇。」
拓也が声をかける。
「どうしたんだ?」
重たくなったまぶたを閉じながら、話を聞く。
「3日間、頑張って生き延びような。」
「当然だろ。絶対、脱出してやるさ…。」
ふ、と今まで堪えていた眠気が一気に勇を襲う。
疲れた…。
今日一日で、色々な事が多過ぎる……。
そのまま勇は、深い眠りに落ちた。
夢を見た。
自分が幼い頃の夢だった。
暗い家一人ぼっちの自分。
父も母も仕事、仕事、仕事…
毎日仕事ばかり。
いつも、自分ひとりだった…。
突然、身体が揺すぶられた。
ふ、と目を覚ますと…
「…拓也…?」
辺りはまだ真っ暗だった。
が、拓也の顔だけは、はっきりと浮かび上がる。