刑務所

はこもの  2006-06-07投稿
閲覧数[503] 良い投票[0] 悪い投票[0]

僕と彼女は向かい合うように座っていたけれど、その間には1枚のガラスがあった。つまり、僕は刑務所の中にいて、彼女が面会に来てくれているわけだ。

「早く出てきてね」彼女は言った。「世界は楽しみで満ちているわ。こんなところに入らなきゃならないなんて、時間の無駄よ」

僕もそう思った。だけど、少なくとも、あと1ヶ月はここから出られないだろう。仕方がない。法律で決まっている事なのだ。

「努力するよ」僕は言った。「できるだけ早くここから出られるように、努力するよ」

「待ってるわ」外では名前も知らない鳥が鳴いていた。
彼女は立ち上がって部屋から出ていった。それから僕も立ち上がり、他の囚人たちの元へ戻っていった。

1ヶ月後、僕が刑務所からでると、そこには満面の笑みを浮かべた彼女が待っていた。空に浮かぶ雲や、流れる風さえも、僕の事を祝福してくれてる気がした。そして僕らはきつく抱き合った。



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 はこもの 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ