「いや…アゼルは病気で死んだわけじゃ無いんだ。…殺されたんだよ…」
「!」
セイルの言葉に、ライルは思わず息を呑んだ。
「建国祭の時に、アゼルはロザラムと一緒に遊んでいた。そこで、僕達の知らない間にアゼルは燃え盛る家の間に挟まれて、焼け死んでしまったんだ…」
「ちょっと待て、セイル。お前、それだけで犯人をロザラムだと決めつけているのか?」
「もちろんそれだけじゃないさ。ロザラムは側に居て呆然と立ってその様子を見ていたんだ。しかも、手には剣を握り絞めて…」
「待て、待て、セイル。それだけじゃ何の証拠にもならんぞ。まさかお前…そんな証拠だけでロザラムを非難して、家族まで…」
「仕方ないじゃないか!アゼルが死んだんだぞ!」
セイルはテーブルに拳を叩きつけて、怒りの目でライルを見た。
「ミリスやエミリアはいずれ嫁に行ってしまう!となれば、家を継いでくれるのはアゼルしかいない!才能もあった!…それなのに…」
セイルはそう言って目に涙を浮かべながら、唇を噛んだ。
「…すまない、セイル。お前の気持ちも分からず、きつい事を言ってしまった…」
ライルは悲しみの表情で、謝った。
「いや…いいよ。もう、過ぎた事だ…」