『ホントですか?!』
あたしのチョコを持つ手が止まる。
『ホントよぉ。いやだぁ、奈央ちゃん。そんなにビックリしないでよ。
そんなの人それぞれだと思うし、焦ってするものでもないじゃん?!
前にも言ったケド、奈央ちゃん、自分を大切にしなくちゃだめよ!!』
『は‥はいっっ。』
ミズホさんの言うコトは、もっともだと思うケド――
ミズホさんとサトル君が、
キスもまだなんて――
ホント、ビックリした――
そして――
心の中で考えていた――
あたしには――
何時か聖人とひとつになれる日が来るのかなって――
『奈央ちゃん。チョコをコーティングしたら、ココアパウダーの上でチョコをコロコロ転がすのよ♪』
ミズホさんに、そう言われてハッとした。
いけないっっ。
ボーっとしてた。
『はい。普通のトリュフの方だけココアパウダーをまぶすんでしたよね。』
フォークを持って、バットに入ったココアパウダーの中で、チョコを転がす。
トリュフがコロコロ、行ったり来たりするのを見ながら、
あたしは、また考えていた――
あたし――
本当に――
この汚れた体を、
聖人に見せられるのかな――
『!!!』
その時――
あたしは、妙な息苦しさを感じた――
それは、大晦日のトキと同じ感覚――
くっ‥‥苦しっっ―ー‐‥‥‥
あたしは、その場にしゃがみ込んだ――
『奈央ちゃん?!どうしたのっっ!!』
あたしの異変に、ミズホさんは、直ぐに気付いてくれた。
でも――
あたしは、その息苦しさから声を発するコトが出来ない。
何これ?!
あたし――
もしかして過呼吸?!
『はぁ‥はぁ‥はぁ‥はぁ‥‥‥苦しっ‥‥苦しいっっ‥‥た、助けてっっ―ー‐』