『明日は連絡出来ないから』
そんな前置きは嫌い
分かってはいるけど嫌い
この電話を切れば明日は声を聞く事が出来ないと思うと目の前が暗闇へと変わる
『大丈夫?』と貴方が聞く
『何がですか?』と白々しく聞き返す
『寂しそうだから』と貴方が答える
分かってるなら聞く必要はないのに相変わらず酷な質問
『我が儘は言いませんから』と笑ってみる
そこで『寂しいです』とか『切らないで』とか『だったら会いに来て』とか言ってもどうにもならない
私はそんなに子供じゃない
本当は吐き出してしまってもいい
喉の先端まで込み上げて来ている言葉を吐くのは簡単な事だから
それを出さないように出さないように我慢するのは難しい事なんだから
『本当に?』と念を押して来る
言ってもいいなら言ってあげる
でもそれじゃあ今までの私の努力が全て水の泡になる
もういいじゃない
『大丈夫ですから』と声色を変えないように言い放つ
次の言葉を聞きたくなくて一方的に『それではまた』と終わらせる
貴方が先に電話を切ってしまうのは悲しいから一方的に電話を切る
どれ位泣けばいいのだろう
また泣いてしまう
貴方に出会ってから涙腺が緩みっ放しで困る
この涙が渇いてもきっとまた近い内同じような涙を流すのだろう
嬉し泣きならいい
だけどそんな日は来ない
きっとまた悲し泣き
これから先
後何回こうなるのだろう
考えるだけで途方に暮れてしまう