エリグラム砦の中にあるエミリアとミリスが泊まっていた部屋で、ロザラムは壁に背をもたれさせながら、立っていた。
明日にでも、王宮から数名の精鋭騎士が俺を逮捕しに来るかもしれんな…―\r
ロザラムは一つ小さくため息をついて、うつ向いた。まあ…目的は達成したし、もう思い残す事は無いか…―\r
そんな投げやり的な考えを巡らせながら、ロザラムはエミリア達の寝ていたベッドを見た。
全てを知ったら、軽蔑されるかもしれんな…―\r
ロザラムは寂しそうに笑いながら、そのベッドに腰掛けた。
アゼル…―\r
ロザラムの目の前には、建物の隙間から必死に出ようとするアゼルの姿と、燃え盛る炎が映し出されていた。
鬼ごっこなんてしていなければ…―\r
ロザラムは唇を噛んで、首を振った。
俺だって、あの時必死にアゼルを出そうとしたんだ…だが、あいつの身体が丁度建物に食い込んでいて、抜けなかったんだ…―\r
ロザラムは目を閉じると、あの時アゼルが発した「ロザラム兄ちゃん、助けて!」という言葉が響いてきていた。
水の魔法を使えば簡単に消せたはずなのに、動転していてそれに気付けなかった。剣を手に持っていても、何も出来なかった…―\r
「…くそっ!」