「突然だが、次の行き先が決まった。」
起き抜けの三人に向かってラウフはそんなことを言った。
「ホントに突然だな。一体どこなんだ?」
まだ眠そうに大あくびをしながらランスォールが聞いた。
ラウフの瞳が一瞬シーラを捉えたが彼は胸を張って言う。
「機械都市サントラーセットだ。」
「!」
やはりシーラは驚きを隠せなかったようだ。
「イツキはサントラーセットに…?」
今度は雪が聞いた。
「ああ。…シーラ、大丈夫か?」
「ええ。ただ、少し驚いて心の整理が必要なだけ。」小さく吐き出すように言ったシーラの声はどこか震えている。畏れと迷いの色を伴って。
「じゃあ、昼過ぎには村を出よう。それまでに整理出来るか?」
ランスォールが静かに聞くとシーラは黙って小さく頷いた。
「シーラさんとサントラーセットって何かあるんですか?」
小屋にシーラを残し庭で昼寝をしていたラウフに雪が聞いた。
「あいつの故郷なんだと。しかもあの様子を見る限り不老不死の実験を受けたのはサントラーセットだろ。…ようするに、トラウマだな。」
「辛いですね。」
雪が呟いた。
「ああ。そうかも知れないな…」
やがて昼頃になると小屋からシーラが出てきた。
「…行きましょう。」
「大丈夫なのか?」
「ええ。」
シーラは強く笑った。