ロストクロニクル1―4

五十嵐時  2008-09-21投稿
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「今、なんて?」
タクトが恐る恐る問いかけた。
「だから、忘れたんだよ!」
今度は開き直ったようだ。
「ふざけるな!」
「ふざけてねぇよ!」
「ウェドが通路を教えるって言ったから連いてきたんだぞ!」
「そんなこと言っても仕方ねぇだろ!忘れたものは忘れたんだ!」
「止めてよ!今喧嘩してもしょうがないでしょ!」
パールが二人を一喝した。
「そうじゃ、今はその通路への扉を開けることが先決じゃ」
「壊せないの?ほら、その大きな剣なら」
「駄目だ」
「どうしてだ?」
「これ、威嚇の為の飾りでよ。使えねぇんだ」
へへへ、と力無く笑う。
「う・・そ、戦えないの」
「そんなことはねぇ。俺の『ハンマー』があったらなぁ」
「何処にあるんだ?」
ウェドは下の方を指差した。
「地下か?」
小さく頷いた。
「ムシが」
「近づいて来たぞ。どうするんじゃ」
「足止めするからその間に思い出しておくんだ」
いよいよムシたちが近づいて来た。足音が間近に聞こえる。
「えーと、地下の街の名前だったな。えーと」
地下の街・・・
「クォールマーク」
タクトが呟いた。
「そうだ!」
ウェドは叫んだ。
「クォールマーク!」
地下へと続く扉が大きな音を立てて開いた。

「助かった」
「危なかったわね」
扉の中は目の前の人も見えないほどの暗さだった。 「何故、わかったんじゃ」
「昔、お婆ちゃんが教えてくれたんです」
「どうなってるの?」
「これで明るくなっただろ」
ウェドが壁に掛かっていた松明に火を付け、持っていた。さっきから火打石の音がすると思ったら
「死にかけたじゃないか!」
「悪かったと思ってる」「まぁ、いいじゃない、みんな無事だし」
「そうだね」
なるべく明るい調子で答えた。タクトも少しウェドを責め過ぎたと思ったからだ。
「よしっ!俺に連いて来い!これからはちゃんとガイドするぜ!」
「よく言うわよ」
パールが呆れた声を漏らす。
「大丈夫。今までの分までちゃんと案内するぜ」
「そうと決まれば早速出発じゃ」
老人は相変わらず急かす。
「これからこの暗い通路の中、何が起こるか分からない」
「でも、大丈夫よ」
パールが前向きな答えを返してきた。

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