彼女はいつも笑っていた。
どんな時でも笑っていた。
どんな時でも笑顔だった。
どんな時でも明るかった。
ただ…一度を除いては…。
一人で生きるのは…。
辛いけどね…。
「おっまたせー!」
「うわぁ!?」
「わぁ!…びっくりしたー。どうしたの?」
「いや、悪い…。――考え事してた…」
「…お兄ちゃん」
「ん?」
「悩み事があるんなら相談してくれても良いんだよ?」
「えっ…」
「人は一人で辛い事を抱えていたら壊れちゃう生物なんだよ?
お兄ちゃんが抱えている事は言いづらい事なのかもしれないけど誰かに言えば気持ちっていうのはずっと楽になるはずなんだから」
「麻衣…」
「それに…私達は家族なんだから」
「…」
家族…か。
確かにな…。
でも…。
それでも…。
「ありがとな、麻衣」
ぽんっと頭に手を乗せる。
感謝と…拒絶を込めて。
「でも、本当に大したことじゃないから気にするな」「…そうなの?」
「ああ」
お前が気にするべき話じゃない。
これは…俺の問題でしかないのだから。
「…お、そろそろ出掛ける時間だな。さて行くか」
「うん」
そうして、準備が出来た俺と麻衣は家を出た。
続