『寒い...』
雨に濡れはじめてから、だいぶたった。まだ夏なのに寒くなるぐらいにびしょ濡れだった。
『もう帰ろうかなぁ...』
国分先輩を待ちたい気持は山々だけど、さすがにこの雨じゃ無理だと思った。
そんなとき...
「なんだよそれ〜!」
聞き覚えのある声が左側の曲がり角から聞こえてきた。
誰が曲がってくるのかな?と、曲がり角を見つめていると、
『国分先輩...?』
国分先輩が女の人と一本の傘をさしながら歩いてきた。
「章平の学校ここだよね〜」
「うん。そうだよ〜」
楽しそうに会話をしながらァタシの目の前を通りすぎて行った。
何回か目が逢ったけど、国分先輩はまるでァタシの事を知らないみたいに無視した。
「門の前にいた子章平のことずっと見てたけど、知り合い?」
「え?そぉ?全然知らない。」
全然知らない...?
ァタシ、国分先輩の彼女じゃなかったの?
その瞬間雨がやんだ。