「ほほほ…ローイー、女性に軽々しく歳を聞いちゃ駄目よー」
ミリスはそう言って笑いながら、ロイの頭をはたいた。
「あうう…じ、じゃあエミリア姉ちゃんは…はぐっ!」
ロイは別方向から飛んできた手にまたしても頭をはたかれて、前につんのめった。
ロイが恐る恐るその方向を見ると、エミリアがにこにこしながら立っているのが見えた。ただし、目は笑っていない。
「ロイ…お前はもう少しレディに対する対応を学んだ方が良さそうだな」
ライルはその様子を見て、笑いを噛み殺した様な顔になった。
「それよりロイ、あんたは幾つになったのよ?」
「…十六だけど」
「…ふーん…生きていれば、アゼルはあんたと同い年だったんだ…」
ミリスは少し寂しそうな表情を浮かべながら、ぽつりと呟くように、言った。
「へ?アゼル?」
「あ、何でもないのよ、気にしないで」
ミリスは慌てて首を振ると、サリア達の方に向き直って、
「母さん、心配しなくても大丈夫よ。ロイもこの二人もいい子達だし、姉さんもいるし」
と、言って、にっこりと笑った。
「そうね…じゃあライスさん、よろしくお願いします」
サリアはそう言って、ライスに向かって深々と頭を下げた。