「よっ」
「うん…」
なんだかぎこちない私。
だめだなぁ…
「遅いよ、圭ちん」
「うるせぇ、今実習中だって知ってるだろ」
要くんにはちょっとぶっきらぼうな圭吾。
それだけ要くんに心開いてるんだね。
「実習中で大切なのにきてくれたんだね」
と理沙がウインクする。
そうだよなって実感して嬉しくなる。
楽しい時間はあっという間に過ぎて…
「そろそろこいつ連れて帰るわ」
そう切り出したのは圭吾。「ぅん」
私は引き止めたい気持ちをこらえた。明日も会える。「えーまだ22時じゃん」
「もうだよ」
「へぇーぃ」
渋々従う要くん。いいコンビだな…
「今日はありがとう。じゃぁまた明日」
「おぅ、ありがとう。また明日」
そう言って帰っていった。
久しぶりにバイバイが嫌だなって思った。
今日のピザ会でいろんなこと知った。
好きな食べ物、嫌いな物。誕生日、牡羊座、O型…
高校までバスケしてた事…実家を出てあのマンションに一人暮らしな事。
弟さんがいること。
同じ様に私のことも話して
「奏ちゃん、嬉しそう」
理沙が片付けながら私に聞いてくる。
「うん」
今まで好きな人、付き合った人、いたけど…
こんなにも心から想える人は初めてかもしれない。