圭吾が準備室の扉をあけると崎山が立っていた。
「どうかされましたか?」
「放課後の職員会議はなくなりましたので連絡に」
「そうですか、ありがとうございます」
圭吾をじっと見つめる崎山。何?何で見てるの?
「何か…匂いません?」
崎山…ビンゴです。圭吾タバコ吸ってますもん。
「この白衣ですかね」
圭吾それは無理がある。
そう言って圭吾は白衣を脱いで崎山に近づいた。
「えっ」
慌てる崎山。なんか嫌だ。「他の先生にお借りしたもので…すいません」
「そうですか、失礼しました」
崎山は勢いよく準備室からでていった。
「もういいぞ」
なんだか嫌だな…
「見いつけた」
そう言って圭吾は私を抱き抱えた。
「離して、圭吾」
「何怒ってんの」
そう言って私を机の上に座らせた。
「ヤキモチ焼くなよ」
「違うもん」
まるで子どもで説得力ないなぁ私。
「飴でも舐めとけ」
圭吾がくれた飴は甘くて。
なんだか胸が苦しかった。
キンコーンッカーンコーン
予鈴がなった。
「行かなきゃ…」
「おぅ」
埋められない距離がある。
圭吾は私をどう思っているんだろう。
私が好きって言ったら…
受けとめてくれる?
困らす?
この距離が焦れったい。わかってよ。