「久しぶりだなダンテ、だがもうお別れだ」
その言葉を最後に通信が途絶えた。
バキン
何かが壊れた音、妙な金属音が聞こえた。
「何だ…今の音」
「キャプテン!大変だ!燃料が漏れてる!」
キャプテンは急いで外を見ると船の底から出ていると思われる一本の燃料の筋が見えた。
「…イエロの野郎ノアに穴開けやがった!」
キャプテンは急いで舵を取ると大声でどこかに掴まっているよう指示した。
再び金属音が聞こえたがどうすることも出来ない。それ以前になぜあの長距離から攻撃を命中させることがてきるのかが疑問だった。まだ2キロほど離れているはずなのに的確に燃料ポッドに当ててくる。
「これじゃ燃料がきれる前に引火して終わりだ!」
船内にソラの泣き言とエンジン音だけが響く。さすがのキャプテンとマミーも緊張した面持ちで後ろの中型船を気にしていた。
「だめだ…!逃げきれない!」
初めて聞いたキャプテンの弱気な言葉はソラを絶望させるのに十分過ぎるものだった。
未だ船内に響く金属音、たまらずソラは目をつぶった。
バキン
バキ
後一発、後一発で終わりだ!ソラはカウントをとるように金属音の数を数えた。
バキ
バキ
………
……………
一定のリズムで続いていた金属音が突然止まった。
それに気づいたソラはゆっくり目を開き振り返った。
「…船だ!船が後ろにくっ付いてきてる!」
大きさは小型船より一回り大きい中型船くらいだろうか。ノアのすぐ後ろには紋章のようなものが描かれた赤い船がノアを庇うようにぴったりとついて着ていた。