皆と別れてあの人と二人きり。午前2時近い。
皆に気付かれないように、そっと耳打ちした。「家まで送って」と。少し驚いたような、照れたような表情。頭をなでなでされた。「良いよ」の意味と私は解釈。
並んで夜道を歩く。くっついてるのでもなく、離れてるのでもなく。微妙な距離。月の光に照らされたあの人の顔。ちらっと見ると、キラキラした真ん丸の目もこっちを見てた。
私はいきなり隣の腕をつかんでくっついた。
「どうしたのぉ?」
向かい合って、少し見上げて、あの人の目を見た。
「だって好きなんやもん。」
こんな気持ちにさせてくれてありがとう。
少し肌寒い初秋の夜の出来事。