「………。」
シーラはテーブルに置かれたティーカップをとると一口飲んでまたテーブルに置いた。
今シーラがいるのは『アレフォールの館』と呼ばれるサントラーセットで一番大きな屋敷だ。つまり、シーラの実家。
コンコン、とノックの音がしてまだシーラが何も言わぬうちに静かに扉が開かれた。
「カロウド様がいらっしゃいました」
「待たせたな。シーラ。」
メイドが遠慮がちに言ったがその後から少し小太りな男がシーラの方へと近づいた。
「………。」
なおもシーラは黙ったままで動かない。目だけはしっかり男を睨み付けている。「…ふむ。20年ぶりの親子の再会をもう少し嬉しそうにしたらどうだ?」
「今はもう、父とは思ってませんから。」
そう。このカロウド、本名カロウド・アレフォールはシーラの父親だ。
「ところで…あなたはどうしてあの頃と同じ姿をしているんですか?