出来るだけ平静を装って言った。
「あなたには…父さんには、こんなになって欲しくなかったのに…」
憐れむようにカロウドを見た。しかしカロウドは満足気に言う。
「お前ほど不死には近づけなかったがな。なかなか便利なものだ。」
便利な事があるものか。
20年前、シーラが体内の魔力を取りだし、機械に入れるなどという実験に荷担したのは何も兵器として使う為ではなかった。
『人の役に立とう。』
そう言われ、参加してしまった。
しかし現実には、人の役に立とうという淡い希望も廃れカロウドは首都、国と戦争をするために研究、実験をするようになった。
そんなことをすれば沢山の命が無意味に失われる。
自分の参加しているこの計画が怖くなり、シーラは逃げようとした。
しかしそれも失敗し、それからは実験台としての日々を過ごした。
偶然、実験中事故が起きどさくさに紛れて自由を手にしてからは各地を転々とし元の体に戻る術を探し気がつけばあれから20年が経っている。
「…シーラ。」
カロウドは娘の名を呼ぶ。シーラは俯いていた顔を上げた。