Killing Night Freaks/Chap.2-5

夢の字  2008-09-26投稿
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「……でさぁ、カヅキ君よ」
「何さ海潮」
「お前、人が行方不明になる理由ってなんだと思う?」
「……人生が嫌になった」
「ルート3点。や、真面目に答えれアンボンタン」

そういうやり取りが有ったのは金曜日の夜、山入りの荷物を整理していた時の事。三日分の食料をザックに詰めている最中に、海潮が思い出したように聞いてきたのだ。一応、行方不明者の捜索が名目になっているこの調査。そこまで調べる必要はないのだけれど、

「先輩はそれがメインなんだろうなぁ……」

たぶん。というか絶対だ。あの先輩が率先して人の為になることをするなんて考えられない。何故かは知らないけど、あの人は『他人の為の何か』を極端に嫌うから。だからこの調査も、自分自身の知的好奇心を満足させるために行われるんだろう。

「普通に考えるなら巻き込むな、って言うべきだよな」
「あの人に常識は通じないよ。ま、僕は好きでやってるから良いんだけどね」
「頭おかしいんじゃねえの、と言わざるを得ないな。俺は二度とあんな目に遭うのは御免だぜ」
「なら海潮も頭おかしいんだね。ここに居るんだし」
「ああ、全くだ。なんでこんなとこに居るんだろーな、俺は」

苦笑して、ザックの前ポケットに地図を入れた。山の中の様子を簡単に示した概略図だ。当日進むべきルートもこれに書いてある。ある意味最も重要な物。食料と並ぶ生命線だ。自分達が新しい行方不明者にならないために、予備も一応用意してある。

物事には万全の体制を持って挑むべし。成功・生存率を上げるには、何事においてもこれが一番だ。

「……人が行方不明になる原因、か」
「ん?」
「いや何でも。取り敢えず、今回は覚悟しておこうか」

準備を終え、枝払い用のマチェットを手に馴染ませながら、一言。

「今回はさ。なんか、予感がするんだ。だからきっと何かが有る。面白い何かが」
「……冗談じゃねーぜ」

そして、次の日。海潮に告げた言葉は、事実となっていた。


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