渡る世間は鬼ばかりとはよく言ったものの、まさか我が山下家に起きるなんて思ってもなかった。
雅弘おじさんが亡くなってから、おじさんの妻、文代は年金も保険もかけておらず我が家に世話になるのを企んでいた。
だけど家族中が反対した。そう文代おばさんは金遣いがあらく、踊りの稽古だの着物がいるだの草履にブーツおまけに不倫相手もいておじいちゃんとも出来ててそんな人に来られたら我が家はめちゃくちゃになってしまうからだ。
母は丁寧にお断りして、そこから母とおばちゃんと呼ぶにはもったいない、ばばあとの戦いが始まった。 数ヶ月が過ぎ、文代おばちゃんのことを忘れかけた頃。
母から聞かされた。「文代姉さんは訴訟を起こしている。」すぐ何の事か分かった。「それで家は乗っ取られるん?」あたしは聞いた「いいや。」と母は言った母が言うには、どうやら文代おばさんはもともとは、母の実家の土地で母の兄から買った土地に家を建てているのに、父方のおじいたゃん、おばあちゃんが住んでいた家だから私の家だと嘘をついてきたらしい。 困ったものだ。そんな嘘、登記をみればわかるのに、文代ばばあは、それからも何度も訴訟を起こした。 そのたびに母やおばさんの過去が調べられた。 両親はおじいちゃん、おばあちゃん、おじさんが生きていた頃、毎年、盆、正月には餅や米を持っていき、毎月五万円の仕送りをしていた。
おばちゃんはお祖父ちゃんたちの隣にすみ、出かけるときには、おばあちゃんに「3ごう炊いとってかぁ」と出掛けていた。
そんなわけでおばちゃんの訴訟は負けてばかり、極め付けが、おばあちゃんの死因だった。
つづく