天気はいつも雨だった。彼が私の前に現れるまでは。
よく雨の降る午後。
「…」
風宮 花梨は学校の昇降口から雨がざんざんと降る空を見上げた。
「…今の雨って微妙に酸性雨だからハゲるんでしょ?」
横から出た少し大きな声に花梨は振り返る。
「はっ!?」
「ちっス」
友達の久美子だった。久美子はソフトボール部の部長で男勝りだ。
「なんだよぉっ、久美子かよ」
「なに?いけないワケ??」
「べっ別に!!」
ちらちらと花梨の顔を見てくる久美子に花梨は
「なに!?」
「あたしじゃなくて和哉くんだと思った?」
一気に顔が赤くなる花梨。
「違いますからっ!!」
「ふぅん」
花梨は同じクラスの関口和哉に思いを寄せているのだ。