昔、まだ名前のない花があった
その花を見つけたのは少年だった
あまり人の行かない村外れの白い砂丘で見つけた
そこは行っては行けない場所とされていたのだが少年は、どこまでも続く白い砂丘がきれいで朝早くに家族に内緒で行ってしまった
そこで見つけたのは、青い小さな花でした
少年は少しちぎって家に持ち帰った
それを見せると家の人はみなびっくりした
見たことない花だなあ、どこに咲いてたんだ
少年は言わなかった
村一番の物知りの老人に少年はその花を見せた
見たことないぞ、すごい発見じゃ
少年は得意げになった、そして度々家を黙って抜け出し行ってはいけない白い砂丘へ出掛けた
だが、あの青い花以外に他には珍しいものはなかった
少年はまた同じ青い花をちぎって持ち帰った
朝早くから家には村一番の物知りのあの老人が来ていた
少年を見るなり老人は、あの花には名前がないから君がつけてくれんかね?
そう大きな声で言った
少年は、いきなりそんなこと言われても僕にはできませんと答えた